まじめなAVプロダクション社長のブログ

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第10回 AVモデルさんのギャラ(お給与)について⑤

 単体モデルさんのギャラは、通常のモデルさんのギャラと明らかに異なる、大きな特徴があります。
それは、その契約の大半が専属契約だということです。

専属とは、その名の通り、ある特定のメーカーとだけ出演の契約を結ぶということです。
この専属契約を、この業界では「拘束をかける」あるいは、「拘束がかかる」という言い方もします。

これは単体モデルさんにだけ特有というわけではなく、企画単体女優さんでもあることです。
また、単体女優さんでも、専属契約でないモデルさんもいます。
ただ、一般的に、人気のある単体モデルさんだと、ほぼ間違いなく専属契約を結びます。

わかりやすい例として、小向美奈子さんで説明したいと思います。
小向美奈子さんのようなタレントさんがAVに転身するとなった場合、通常のAVと違って、相当な売り上げが見込めます

 出せば必ずヒットするモデルさんですから、当然、複数のメーカーが撮影したいと思うわけですね。

そこで競争が始まり、最終的に最も良い条件を提示したメーカーが撮影する権利を獲得できるわけです。

この条件とは、
①1本あたりの金額
②撮影本数

この2点です。

この2つを掛け合わせたものが出演料ですから、結局は出演料なんですけど、最初の契約の時にこの2点を決める、つまり出演料の総額を決めるわけですね。

小向美奈子さんが所属するプロダクションは、小向美奈子さんに対して総額で最も高い出演料を提示したところと契約することになります。

 さて、メーカーが提示する総額出演料ですが、その金額は、そのメーカーが小向美奈子さんの作品をどれだけ売ることができるか、という見積もりから逆算します。

 これくらい売れるだろう、という予測をして、ここまでの出演料なら利益がでる、という計算に基づいて出演料を提示するわけです。
だからメーカーとして作品をしっかり売る力がないと高い金額は出せません。

また、プロダクションから考えると、一本当たりの金額だけでなく、全部で何本の撮影を約束してくれるかというところも大事です。

例えば、3本で5000万円出しますというメーカーと、10本で1億円出しますというメーカーが競った場合、10本で1億円出すメーカーをプロダクションは選びます。

1本あたりの出演料ではなく、全体で多くの売上を確実に提示してくれる契約のほうがプロダクションとしてはうれしいんです。
 つまり3本で5000万円を手にしても、その後に仕事のオファーがあるかどうかわかりませんし、あっても格段に安いギャラでのオファーしかないかもしれません。
最悪、それ以降はないということになるかもしれません。

普段はAVを見ない人が、興味本位で小向美奈子さんのデビュー作AVを購入するかもしれませんが、そういう人は2作目以降は買わないでしょう。
 また、全盛期の小向美奈子さんであればわかりませんが、今の小向美奈子さんは、すでに全盛期を過ぎています。

つまり、AVモデル小向美奈子を、末長く面倒を見てくれるメーカーをプロダクションは選択するわけです。

 どのメーカーでも1本だけなら確実に高い金額が提示できます。
しかし、たくさん撮影すればするほど、きつくなってくるんです。
だから、いろいろな設定や企画を考えてできるだけ多くの作品が売れるようにと知恵を働かせるわけです。
 ここがメーカーの実力が問われる部分と言えます。

さて、ここまででお分かりいただけたと思いますが、専属契約は、このようにメーカーが特定のモデルさんに対して高額な条件を提示する代わりにプロダクション側が他のメーカーと契約をしないことによって成立します。

お互いが、そのことによってメリットを受けることになります。
メーカーは専属契約によってそのモデルさんを独占できるので売上を最大にすることができ、さらに販売予測が立てられます。

一方、プロダクションは安定した出演料を見込めるというわけです。

さて、小向美奈子さんはアリスJAPANというメーカーでAVデビューしました。
アリスJAPANからは総集編を除いて撮り下ろし作品7本を発売しました。

 とにかく当時は、この小向美奈子さんのAV転身のインパクトは凄かったと記憶しています。

 いろいろありましたが、小向美奈子さんは、とても人気のあるタレントさんでしたから。

さて、小向美奈子さんのギャラについては、様々な憶測が流れましたが実際の金額はわかりません。

 当時、その出演料が5本で1億円という、まことしやかな「うわさ」が流れました。これは事実だったのでしょうか?

真相は不明ですが、小向美奈子さんのデビューDVDは20万本を売り上げたとされ、この数字は空前の数字となりました。

20万本という数字は、メーカーのアリスJAPANが自ら公表した数字ですので、かなり信ぴょう性があります。
 これはAVとしては、過去最高の売上本数と言って間違いないと思います。

 さて、20万本ということは、1本あたり千円で問屋に卸したとしても、メーカーには2億円の売り上げが入ったことになります。

 この2億円から5本分の出演料の1億円と、その他の製造原価を差し引いても1,2千万円は残る計算となります。こう考えると20万本という数字がいかにすさまじい数字かがわかります。

 DVD以外にもインターネット配信、レンタルなどの売上も見込めますから、実際にはもっと多くの利益があったと推測できます。

 このように考えると5本で1億の出演料を支払っても、メーカーは十分な利益を得たと考えられるわけです。

 ところで、出演料が仮に1億だったとしても、これまで何度か触れたように、それがすべて小向美奈子さんのギャラになるわけではありません。
 ただ、このくらい大きい金額だと一般の予測は当てはまらないのでいったいいくらが小向美奈子さんのギャラになったかは見当がつきません。

さて、次回も、さらにAVモデルのギャラについて、書いてみたいと思います。

 

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