まじめなAVプロダクション社長のブログ

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第17回 AVに出るとは「堕ちる」ことなのか ~ウーミンさんへのお返事~

第15回のブログ長いコメントをいただきました

ウーミンさんという男の方からですけど、せっかくいただいたコメントですので、そのコメントについて、今回は書いてみたいと思います。

「堕天使」というのはかつて、よくAVのタイトルで使われました。

最近はあまり見かけなくなった気がします。

以前は、特にSMメーカーで良くタイトル中に使った言葉です。

「堕」(だ)というのは「堕ちる」(おちる)という意味ですね。

ウーミンさんのコメントの中に「狩られた弱者」という言葉がありました。これはこの「堕」とほぼ同じニュアンスですね。

イメージでいうとちょっと暗いイメージですね。本人の意思に反してそのような行為を強制されてしまって抵抗しきれずにセックスさせられたというイメージだと思います。

こうしたイメージはAV女優につきものですし、最近のAV強要問題などでそういったイメージがAV女優にまとわりついているのですが、実際にはAVに出演する女性は、ほとんどそういう気持ちで撮影に臨んではいないと僕は思っています。

それどころか、とても楽しく撮影に臨んでいるモデルさんが圧倒的多数と思っています。その理由は簡単です。仕事としてのAVモデル業は一部のケースを除けばそんなに割の悪い仕事ではないということです。

企画モデルさんで、ナンパものなどの短い拘束時間だと3万円のお給料です。AVモデルをやって3万円と聞くと、なんて安いお給料なんだろう、と思うかもしれませんけど、拘束時間が3時間とすれば、時給1万円ですね。時給1万円の仕事ってなかなかないですよね。しかも、撮影現場ではモデルさんは大事にされますから、嫌な思いをすることは、ほぼないわけですね。

ただ、例外もあります。例えば監督やスタッフがイヤなことを平気でいう人間だったり、時には暴力的なことをちらつかせるような、クズ監督だったりと、個々の現場ではひどい扱いをされることも無いとは言えません。つまり100%全部が良い現場、楽しい現場というわけではありません。これについてはまたいつかブログに書いてみようと思ってますけど、ここでは、そういう個々の現場のことはちょっと隅に置いて考えていただきたいと思います。すべての労働業界全体を見渡した時に、AVモデルという労働条件がどうかと言えば、その労働条件は決して悪いものではないと考えることはできるわけです。

だから楽しく仕事ができるか、できないかでいえば、それは楽しくできるわけです。だから皆さん結構、笑顔で仕事されている方もたくさんいるんです。本当です。

 しかし、それはAVモデルさんがバレないと思っているからということもあるんです。バレないならやってもいい、と思ってやっているのに、バレてしまったときに「え~っ」となるわけですね。

だから、AV女優になったからと言っても、AVモデルさん本人は、バレないうちは「堕ちる」とか「狩られる」とか考えてないと思います。だってバレないと思っているからです。バレなければ別にAVにでてセックスしても実害がありません。モデルさん本人にとっても、知らない男性に自分の映像を見られて性的な興奮の対象となっているとしても、それは彼女たちにとってはどうでもいいことです。むしろ、自分の映像がたくさん売れて見る人も作る人もハッピーになれば、それはむしろ良いことだと思ってもなんら不思議ではないですよね。

ウーミンさんの感覚は見る側の感覚です。作品には演出が入りますし、モデルさんが筋骨隆々な男優にガンガンとヤラれちゃっていると、もう、この子はいったいどうなってしまうの?みたいな感覚になってしまいます。そうして出演しているモデルさんを被害者、かわいそうと見てしまうんですね。でもそれこそが、AVを作る側の演出、意図であって、そしてそれは性的な興奮の要素と関係しているんですね。

 で、問題は現場ではなくて、その作品が世に出て、そしてそのAVに出演していることがモデルさん自身の周りにいる人にバレてしまった時ですね。そしてなおかつ、その周りの人達が大騒ぎをすることです。

ちょっと前に書いたんですけど、例えばアメリカではそんなに騒ぎにならないです。お父さんが娘さんを現場に送ってくることも珍しくないんです。今日もうちの娘をよろしくたのんます、みたいなことが全然あるんですね。

娘さんも現場に着いたときは、眠そうな顔してたばこ吹かしてたりするんですけど、メイクとか衣装とかは、かなりこだわってたりして、モデルとしてのプライドは日本より全然ありますね。

一方、韓国なんかは日本よりはるかに一大事になるみたいで、もし娘がAVに出たりしたら、末代までの恥になって、もうそれはそれは大ごとになってしまうようですね。

さて、何が言いたいかと言いますと、AVに出るということは個人の問題というよりもむしろ、周りの問題になってしまうということです。だから社会的、文化的なことも大きく影響します。

本人としては、現場で撮影することに対しては覚悟ができているし、慣れれば楽しいとさえ思うんです。一方、周りの人はそうは思わないんですね。このギャップが面白いと言えば面白いんですね。そもそもセックスは人間の営みとしては自然な行為ですし、泥棒や殺人なんかとは全く異なるわけです。

でも売春という行為はどの国でも大抵は禁じられているんですね。つまり性行為を金銭の対価として行うということは良くないことだと考えられています。じゃあ、お金が介在しなければよいのかというと、そうでもなくて、それはそれで、ふしだらな人間の、いかがわしい行為と思われますね。

つまり性にかんする行為については社会の中で規範があるんです。人に迷惑をかけてないから別にいいでしょ、とはいかないんですね。AVに出たことがバレたことで受けることになるのは、その社会規範に抵触することによる一種の社会的制裁です。それは法的な罪ではないですが、実際には、それ以上に大きな影響を持つことが多いのです。

そして度が過ぎるとこれは法的な問題になっていきます。性行為については国によって法律に最低限の規範が書いてあってそれを破ると逮捕されるということですね。

20年くらい前に露出物というジャンルが盛り上がって、街で裸になったり、電車のなかでおしっこしたりとやりたい放題やった時期があったんですけど、当時は現行犯で逮捕されなければセーフだったんです。ですので、そうした映像は当時は堂々と販売されていましたけど、警察もあんまりにもそんな連中が増えるのですぐに厳しく対応するようになって逮捕者が続出し、やがてそうした映像自体の販売もできなくなっていきました。

さて、この性に関する社会規範に照らして考えた時、AVというのは、まさに「いかがわしさのかたまり」と言えるわけです。それは全く認めざるを得ないんです。けれども、いかがわしいからこそ商品としての価値があるんです。AVからいかがわしさを取ってしまったら何も残りません。いかがわしくないAVには何の価値もないんです。

AV作る人たちはいかがわしさを追求してメシ食ってます。それは文春さんと同じです。人はいかがわしいものに惹かれます。いかがわしいからこそ、人はお金を払ってでも知りたい見たいと思うんですね。

そう考えると、いかがわしければ、いかがわしいほど価値が増すと言えますね。だからAVは法的に許されるギリギリのところに焦点を合わせて作品を作ります。AV業界とはそういう業界です。

AVモデルであることがバレてしまうと、いかがわしいことに関わった人間とみなされて、社会から好奇の目にさらされ、時として人格を疑われることもあるでしょう。就職や結婚にも影響するでしょう。

すなわち、今回のタイトルに照らして言えば、本人は「堕ちた」とは思ってないけれども、周りには「堕ちた」と思われるということです。

高橋しょう子さんもそうだと思うんですけど、多分本人はあまり意識してないような気がします。でも周りがびっくりして、「たかしょうもこうなっちゃったのかよぅ~っ(涙)」てなるんですね。

もっといい例が小向美奈子さんですね。小向さんは本当にこの「堕ちる」を地でいった感がある方です。覚せい剤で逮捕された後でのAVモデル転身でしたから、それはもうストーリーとしては完璧でした。そして初回DVDが20万枚を超えるAV史上最高の売り上げを記録しました。

そして、海外物にも出演し、一周したところで引退ということだったのでしょうけど、最近もまた出演されていらっしゃいます。最近はこんなふうになられました。

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こうなってしまわれると、あまり話題にならなくなってしまいました。

なぜでしょうか

あまりいかがわしくないからでしょうね。(別の意味でのいかがわしさはあります)

小向さんにはもうかつてのような清純さとか初々しさがありません。

いかがわしいものとは、美しいものが壊れていくさまなのでしょう

今の小向さんにはもう、壊されるものが残っていないのかもしれません。

でも、外見的には十分おきれいです。肌にも艶がありますしね。小向さんは本当に顔がきれいな方ですよね。太ってしまわれたのが本当に惜しいですね。

さて、あらためて今回のテーマは「AVに出るとは「堕ちる」ことなのか」でした。

結論を言いますと、やはり、AVに出るとは「堕ちる」ことになるでしょう。それは認めざるを得ません。

でもきれいだから、美しいからこそ堕ちるということなんだろうと思います。

そうでなければ堕ちようがありません。