まじめなAVプロダクション社長のブログ

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第26回 浄化されてきたAVプロダクション業界

少し前ですけど、ある女性からメールをいただきました。

その方をA子さんとします。

A子さんはすでにAVプロダクションに所属しているそうなんですけど、撮影の仕事はしたことはないそうなんですが、あるきっかけで、個人的な出演依頼を受けたそうなんです。

それをプロダクションのマネージャーに相談したところ、なんと「やめなさい」と怒られたそうなんです。

僕がすでに、このブログで書いている通りだと思うんですけど、身近な人にバレたら取り返しがつかないことになって後悔するから、ということで説得されたそうなんです。

そこでA子さんは、その時はなんとか思いとどまったそうなんですけど、しばらくして、またその人と会う機会があって、また「でてみませんか」と誘われたそうなんです。

そうしたらA子さんは、やっぱり、どうしても出てみたいと思うようになって、居ても立っても居られなくなってしまったそうなんです。そんな中で僕のブログをみて「どうしたらいいでしょうか」という相談があったんです。

それで僕はこのように提案したんです。

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A子さんへ

それでは僕が撮影をセッティングしてあげます。ただしギャラはなしです。またもしかするとA子さんにいくらか支払ってもらうことになるかもしれません。その代わり撮影した映像はA子さんのものとします。その映像を自分で見て、もう一度、自分で考えてみてはどうですか。またその映像を後で買い取ってほしいということであれば、それも条件によっては可能です。

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すこし解説しますと、やはりどんな撮影でもスタジオ、男優、カメラマン、AD、メイクなどそれなりにお金がかかります。僕は自分の知っている人にお願いしてこれらをできるだけタダで調達しようとしました。しかしそれでもタダには出来ないものもあります。それはA子さんに負担してもらうしかありません。例えばA子さんが男優を指名した場合に、その男優がタダでは協力してくれないなら出演料を払うしかないわけです。

また、撮影した映像はA子さんのものとなりますので、その映像が商品になることはないのですが、後でせっかくだから、やはり金銭に換価したいという希望があればそれは可能だと伝えました。ただし商品にできるような撮影にしないといけないので、それを希望するなら前もってそれを伝えてほしいと言いました。

以上が僕のA子さんへの提案だったんですけど、この提案はわれながら良いアイディアだったかなと思っています。

A子さんはAVにでることがどんなにリスキーなことかはもう理解できているんです。そのうえで出演したいと希望されているわけですから、次のステップに進む方がいいと思ったわけですね。そして実際に撮影を経験してみれば、A子さんが何をAVに期待したのか、とかAV撮影によってA子さんは実際にどう感じたかが判明するわけですからね。そこでまたいったん立ち止まって考えれば良いのではないかと思ったんです。

 

さて、ここからが本題なんですけど、このことから僕が感じたのは、最近はAVプロダクション業界がずいぶんと浄化されてきたということです。マネージャーにAVに出たいと言ったら「やめなさいと怒られた」んですから、すごい話ですよね。僕はこれまでAVプロダクションのいわば悪口をたくさん書いてきたんですけど、それはもう違ってきたなぁという気がします。

もう女性にウソを言ってAVに出演させるということが現実的にできなくなってきた気がします。これは、もちろん近年のAV出演強要問題などが影響していることは間違いないのですが、実際にはこうした人道的、倫理的な影響による影響よりも、むしろ経済的な影響によるものが強いのではないかと僕は思っています。

つまり、以前はAVが売れていた時代とはいろんな意味で変わってきたんです。AVが売れていた時代はたくさんのAVが作成されていました。何でも作れば売れる時代があったんです。そんな時代はAVメーカーは、モデルさんにたくさんの出演料を支払ってAVプロダクションにも大きな利益があったんですけど、今はもうメーカーが出演料をそんなにたくさん払えないからプロダクションも利益がとれないんですね。だからプロダクションは少数精鋭主義になっているところが多い気がします。できるだけ単体のモデルさんに絞り込む傾向にあると思います。

たくさんのモデルさんを抱えると経費がかさんでくるので結果として利益が出にくくなるんですね。例えば、たくさんのモデルさんを管理するにはたくさんのスタッフが必要です。所属しているモデルさんがいわゆる企画モデルさんでもそれなりに仕事があってAVメーカーが出演料を支払ってくれればかなりの利益を上げることができたんです。

 でも最近は出演料が下がってしまって利益が出なくなってきたんですね。相当人気があるモデルさんでないとしっかりとした出演料がとれなくなってきたんです。だから利益を出すためには、企画単体以上のモデルさんを説得して出演してもらわないとやっていくことが難しくなってきて、そうなると、やはりそれぞれのモデルさんとしっかりコミニュケーションをとり、正確な情報と高い報酬を約束して誠実に運営していくしか方法しかなくなってきたのではないかと思うんですね。

AV業界は景気の停滞が続いていて、そのことが皮肉にも業界を健全化する結果となったのではないかと僕は考えています。

今回の件でいえば、A子さんがAVに出ることでA子さんが得られる対価がそれほど見込めないことからマネージャーがA子さんには出演を見送らせてきたんだという見方もできますね。

ただ、このA子さんを叱ったマネージャーというのもあっぱれな男だなぁと思うんですけど、それはA子さんが大変よい女性だったから、そのA子さんのためを思ってのことだったのだろうと思うわけです。僕も数回のメールでのやり取りでしたが、ずいぶんとしっかりとした礼儀正しい文面だったのが印象に残っています。

ところで、A子さんとはこの後どうなったかというと、A子さんは、この僕とのやり取りを、所属しているプロダクションのマネージャーに相談しました。この僕の提案後、A子さんからマネージャーに相談してもいいですか?ときかれたので、僕は「是非相談してください」と答えました。そうしたら、そのプロダクションで僕が提案した撮影のようなことをやってくれることになったということで、「親切に相談に乗ってくださりありがとうございました」、と返事がきました。

まあ、マネージャーに相談したら、そうなるのは当然で、むしろ、僕は間違いなくそうなると読んだからこそ、そのような提案をしたわけですけどね。

それにしてもなんですが、A子さんのように、礼儀正しく、教養があって、多分頭もよい女性だと思うんですが、そんな女性がAVに出てみたくで仕方がなかったというのがとても興味深い話だなぁと思うんですけど、これについては、またいつかまとめてみたいと思います。

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